確定申告のチェックを依頼されて、計上漏れが多いのが、「貸倒引当金」の計上です。
残念ながら、税理士でも計上していないケースも見受けられます
せっかく、青色で申告しているのに、もったいないですね
ご自身の確定申告を一度チェックしてみてはいかがですか?
青色申告を行っている個人事業主で、年末の12/31時点において、売掛金や貸付金が残っていた場合には、その合計額の5.5%(金融関係3.3%)を貸倒引当金として、必要経費として計上することができます。
倒産まじかの会社への売掛金等の貸倒引当金は別の規定がありますが、本書では割愛します。
貸倒引当金は、正確な所得計算を行うために必要なものです。
例えば、12月にお客様に商品・サービスを提供して、入金が1月末ということがあります。
その際には、入金が1月であっても12月の売上として計上します。これを、掛け売りといいます。
現金で回収するビジネスの場合には、そのようなことが起きません。
12月に商品やサービスを提供するということは、仕入れや給与を12月に支払っているので、その費用に対する売上は同時期に計上するというのが、会計・税務上の原則となっています。
ただし、1月末で入金予定であったのに、入金されないことがあるかもしれません。多少の遅れがあっても回収できばいいですが、倒産等してしまうと回収することができなくなります。
それに備えて、概算損失の計上が認められています。それが、「貸倒引当金」です。
よく質問項目に、「大手企業だから倒産・入金の遅れが生じないけど計上できるんですか」です。
相手方は関係がなく、計上することができます!個人事業主でも大手企業でも、国でも。それが節税できる所以です。大手企業や公共事業関係を行っていても、節税(計上)することができます。
先ほども述べたように、青色申告をしている個人事業主に限定されています。
白色申告を行っている方は計上できません。
対象となる12月末時点の売掛金等を集計し、その合計額に5.5%(金融関係3.3%)をかけて、計算します。対象となるかならないか分かりにくいので、税務署又は税理士に確認して計上しましょう。
貸倒引当金のメリットは、資金がでないことです。通常の節税商品は現金の支出を伴いますので、
それがない貸倒引当金の計上は節税メリットが大きいです。
貸倒れが発生しなかった場合には、その全額を翌年の収益(戻入益)となります。
売掛金等が同額で貸し倒れが発生しない場合には、貸倒引当金の計上(費用)と戻入益(収益)が同額になるため、節税メリットは一期目だけになります。それでも、計上しないより得ですので、節税のためにも、正確な会計処理のためにも貸倒引当金を計上しましょう!
※ 本内容は掲載時の法令等に基づき記載しています。法令改正等で変更になっていることもありますので、最寄りの税務署又は税理士に確認して下さい。本内容に関する責任は一切負いかねます。