確定申告を行う時に、判断に迷うのが、事業所得と雑所得の区分です。
特に会社員の方が副業をされているときには、判断に迷いますので、ご注意ください。
事業所得は、青色申告制度があるので、主に以下のような違い・メリットがあります。
適用できるのであれば、雑所得ではなく、事業所得で申告することがお勧めです。
| 事業所得 | 雑所得 | |
|---|---|---|
| 青色申告の特別控除 | 65万円の特別控除 (発生主義・複式簿記) | 特別控除なし |
| 青色事業専従者給与(※1) | 適用あり | 適用なし |
| 純損失の繰越・繰戻(※2) | 適用あり | 適用なし |
| 給与等との損益通算(※3) | 適用あり | 適用なし |
(※1)事前に申請することで、家族に対して給与を支払うことができます。
それは労働の対価として適正な金額に限られますので注意が必要です
ただし、控除対象配偶者や扶養親族にはなることができません。
(※2)事業の赤字で、その年の給与等と相殺しても控除しきれない金額があるときは、翌年から
3年間繰越することができます。また、前年を繰り戻しすることもできます。
(※3)事業で赤字であったものを給与などと通算して、所得を計算することができます。
事業所得は、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
明確な定義がないため、判断に迷いますが、最高裁判例では、「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」と定義されています。(最高裁判例昭和56年4月24日)
これをまとめると、
・独立性
・営利性と有償性
・反復継続
・社会的地位
などが判断基準になります。
ちなみに、事業所得その他の9種類の所得に該当しない場合には、雑所得に該当します。
令和4年10月に「所得税基本通達の制定について」の法令解釈通達が公表されました。
その中では、事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判断されると規定されました。具体的には、その所得を得るための活動の規模によって判定します。その活動が事業的な規模で行っている場合には事業所得に、事業的規模でない場合には雑所得に該当します。
その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合には、業務に係る雑所得に該当することになります。その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合には事業所得に該当することがあります。
その帳簿書類を保存している場合であっても、次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなりますので、帳簿があればいいというわけではありません。
※「赤字を解消するための取組を実施していない」とは、収入を増加させる、あるいは所得を
黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。
その所得に係る取引を帳簿に記録していない場合や記録していても保存していない場合には、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有しているとは認め難く、また、事業所得者に義務付けられた記帳や帳簿書類の保存が行われていない点を考慮すると、社会通念での判定において、原則として、事業所得に区分されないものと考えられます。
※ 本内容は掲載時の法令等に基づき記載しています。法令改正等で変更になっていることもありますので、最寄りの税務署又は税理士に確認して下さい。本内容に関する責任は一切負いかねます。