日本政策金融公庫や銀行は、融資を行うときに、①資金の使い道と②返済の確実性を必ずチェックします。
事業計画を作成するうえでは、絶対に記載しなければなりませんので、銀行員だった観点から、整理しました。
資金の使い方が分かっていない起業家・創業者が多いのが実感です。
会社が倒産する理由は資金の使い方が分かっていないためと言っても過言ではありません。
ここでは、潰さない会社を作るための秘訣を伝授します!
借りるお金の種類には「運転資金」と「設備資金」があります。
運転資金は、商品や材料の仕入れや経費を支払うためのお金です。
設備資金は、新たに設備投資(固定資産)を行うためのお金です。
会社を興す人はお金を一色単にしているので、運転資金も設備資金も一緒に考えてしまいます。
しかし、融資を受けるときには、運転資金と設備資金がいくらなのかを明確にする必要があります。
その種類や内容によって、返済期間や金利が変わってくるためです。
日本政策金融公庫の普通貸付の返済期間は、設備が10年(一定の場合は20年)以内、運転が7年以内です。
運転資金が必要になってくるのは、売上と仕入の回収時期にズレが生じる場合です。
例えば、飲食店の場合を考えてみましょう。現金でスーパーや量販店で材料を仕入れて、店で調理し、お客様に提供し現金で回収すると考えると、先にお金を支払わなければなりません。
クレジットカードで支払うお客様もいるので、現金の立て替えが長くなります。開業して間もない時には、お客様も少ないので、回収が遅くなってきます。
このようなときに、運転資金が必要になります。
また、人を雇った時には、一人前になるまでの人件費が運転資金として必要です。
その他に、経費もかかります。家賃や水道光熱費、消耗品などがありますので、1か月間で
いくら使うかを考えなければなりません。
売上の回収タイミングと仕入の支払タイミングを明確に証明しなければなりません。
ビジネスモデルに沿った回収期間と支払期間を設定しましょう!!
言葉の通り、設備に投資するときに借りるお金です。設備資金を借りる場合に、重要なのは見積書の添付が必要なことです。見積書がなければ、設備資金を借りることはできません。
できるだけ多くの融資を受けたと考え、業者に高めの見積書の作成を頼む人がいます。これは、すぐにバレてしまいます。融資担当者は、設備投資額の一般的な水準を理解しています。それを超える金額は理由や目的、販売価格の設定などをチェックして、事業計画自体の信頼性が落ちる可能性が高いです
起業を目指す人と銀行との認識のズレ、考え方の違いが大きく出るのが、返済の確実性です。人生をかけて、練りに練った事業プランで起業を決意した人にとっては、銀行は分かってくれない、分かろうとしてくれないなどと感じるはずです。
しかし、銀行からお金を借りなければ、進みません。
銀行を納得させる資金繰り表の作成が融資実行の可能性を高めます。ただ、損益計画だけで資金繰りまで手が回らない起業家が多いと感じています。まず、損益計画を立てたうえで、返済計画を見込んだ資金繰り表を作成します。
損益項目で重要なのが、以下の区分けして試算することです!
ここで注意したいのが、売上金額をひとつにまとめずに、カテゴリー別に分けることです。そのほうが分析しやすいですし、よく練られた事業計画と銀行の評価が高くなります。
カテゴリー別とは、業種ごとに違いますが、一例としては以下があります
そのカテゴリーごとに回収期間を想定します。現金で回収するのか、掛けで翌月入金されるのか、手形決済で90日サイトなのかなどを考えて、資金繰り表に反映します。
原価には、商品や材料の仕入れが該当します。経費には、人件費や家賃、水道光熱費、リース料などがあります。ここで忘れてはいけないのが、税金の支払いです。
利益そのものが手元に残るわけではありません。税金を支払った後のお金が残るのです。
銀行への返済も税金を支払った後のお金から返済します。
売上同様に、支払いのタイミングを原価・経費項目ごとに想定して、資金繰り表を作成します。
資金繰り表で最も重要なのが、資金がショートしないようにチェックすることです。月初のお金に売上代金が入って、原価や経費を支払い、銀行に返済した後の月末にいくら残るかを分かるようにします。
資金ショートを起こしている状態が見つかれば、本当にビジネスモデルが事業として成り立っているのか、販売単価や顧客数の見通しが正しいかを確認します。
以上が銀行がチェックする大きなポイントです。
業種や規模、地域によっても判断が異なりますので、ご不明な点がありましたら、
ご連絡ください。